【産業政策監調査研究報告】第5号「の農業生産構造動向分析」最終更新日:2023年03月27日
~ 2020年農林業センサス(概数値)データの分析から ~
は じ め に
これまで、産業政策監調査研究報告第2号『〇〇町の農業経営体数の予測と農地の需給見通し』で、〇〇町の2020年、2030年の農業経営体数の予測値を公表してきました。この中で〇〇町の農業経営体数は、2030年には、2015年の54%に減少し、離農により供給されてくる農地は871.6haになるという結果となっています。
この度、2020年農林業センサスの概数値が公表されたことから、〇〇町の農業生産構造の動向を分析するとともに、2020年の農業経営体数の予測値と実測値の差異を分析しました。
2015年~2020年にかけて〇〇町の販売農家数は12.2%減少しているものの、県全体の減少率25.1%に比較すると減少率は小さくなっています。
しかしながら、農業経営体の減少率が小さいのは、高齢化しても稲作に特化しながら営農を継続している農業経営体が多いことと、樹園地の面積を縮小しながら営農を継続している果樹類経営体が多いためと推察されます。
〇〇町の2020年の農業経営体数は、予測値の1,097経営体に対し2020年農林業センサスの実測値は、1,178経営体であり、予測値より81経営体多くなっていますが、率では7.4%であり、予測に用いた「AIを用いた農業経営体数予測モデル(農業情報研究センター 寺谷諒)」の精度は高いと考えられます。
<項目ごとの分析結果>
- 農業経営体の動向
1.総農家数
販売農家数は、2015年~2020年にかけて12.2%減少していますが、同期間の〇〇県全体の販売農家の減少率25.1%に比較し、減少率が小さくなっています。
2.主副業別経営体数
主業が262経営体型、準主業が231経営体、副業的が685経営体となっています。2015年~2020年の増減率を〇〇県全体と比較すると〇〇町の主業、準副業の減少
率が少なく、副業的が増加しています。
3.組織形態別経営体数
農事組合法人は、20経営体で2015年~2020年にかけて5経営体増加し、増加率は33.3%ですが、同期間の県全体の農事組合法人の増加率52.4%を下回っています。
4.農産物販売金額規模別経営体数
販売金額100万円~300万円がもっとも多く、次いで50万円~100万円、50万円未満となっています。2015年~2020年にかけて500万円未満の経営体数が減少し、500万円以上の経営体が増加しています。
〇〇県全体の増減率と比較すると、販売金額なし~300万円未満の経営体の減少率が小さく、500万円以上の増加率が大きくなっています。
5.農産物販売金額第1位の部門別経営体数
稲作が720経営体、果樹類226経営体、露地野菜107経営体、肉用牛63経営体、以下、花き・花木21、施設野菜20、麦類作10、工芸農作物3となっています。2015年~2020年の増減率を〇〇県全体と比較すると、稲作と果樹類の減少率が小さく、工芸作物、麦類作、施設野菜、花き・花木の減少率が大きくなっています。
6.単一経営体数
稲作が556経営体と最も多く、次いで果樹類の144経営体、露地野菜52経営体、肉用牛43経営体、また、麦類作は8経営体となっています。2015年~2020年の増減率を〇〇県全体と比較すると稲作と麦類作の減少が小さく、露地野菜と肉用牛の減少率が大きく、果樹類では増加しています。
7.農産物の売上1位の出荷先
農協が968経営体で最も多く、次いで消費者に直接販売は147経営体、また、食品製造業・外食産業については12経営体となっています。2015年~2020年にかけた増減率を〇〇県全体と比較すると、農協の減少率が少なく、食品製造業・外食産業の増加率が大きくなっています。
8.年齢階層別基幹的農業従事者
〇〇町の年齢階層別基幹的農業従事者は、45歳~64歳までの年齢階層では、2015年~2020年にかけて減少していますが、65歳以上の年齢階層では増加しています。〇〇県全体では、2015年~2020年にかけてすべての年齢階層で基幹的農業従事者数が減少しています。
〇〇町の基幹的農業従事者の新規増減を年齢階層別に試算すると25歳~74歳までは新規増加がみられ、合計で135人増加したと推察されます。最も増加が多い階層は60歳~64歳で39人、次いで65歳~69歳で30人となっています。75歳~85歳以上の階層でリタイヤした人数は213人と推察されます。
9.農業従事者の平均年齢
〇〇町の2020年の世帯員の平均年齢は、農業従事者61.6歳、基幹的農業従事者69.6歳、農業専従者69.0歳となっています。
2020年の〇〇県全体の平均年齢に対し、〇〇町では、農業従事者は0.28歳低いものの、基幹的農業従事者は0.54歳、農業専従者は0.67歳高くなっています。
第2章 経営耕地の動向
1.経営耕地の状況
経営耕地と経営体数を合計、田、樹園地別にみると、経営耕地のある経営体の合計では、県全体では、経営体が25.2%減少し、面積が12.8%減少しているのに対し、〇〇町は、経営体数の減少が13.4%、経営面積の減少は8.3%と〇〇県全体と比較し、経営体合計と経営耕地面積合計の減少率が小さくなっています。
田の経営耕地のある経営体は、県全体では経営体数が27.3%減少し、面積は11.4%減少していますが、〇〇町では経営体数が14.3%減少し、面積は4.7%減少しています。
畑の経営耕地がある経営体と面積の減少率も県全体の減少率よりも小さくなっています。樹園地の経営耕地のある経営体数では、県全体では経営体数が22.7%減少し、面積は19.6%減少しています。〇〇町の経営体数の減少は18.3%と県全体を下回っていますが、樹園地の経営面積の減少率は39.6%と県全体の減少率を大きく上回っています。
2.経営面積規模別農家数
〇〇町の経営面積規模別農家数は、2015年~2020年にかけて、経営耕地面積無しと10ha~20haが増加しているものの、他の階層ではすべて減少しています。
県全体と比較した増減率では、〇〇町は経営耕地面積無しの増加が大きく、0.3ha未満は大きく減少し、0.3ha未満の経営体が経営耕地無しに移行しています。
第3章 農業経営の特徴
1.青色申告の実施状況
実施率は54%で、〇〇県全体の33%より高くなっています。青色申告の中で正規の簿記によるものは20%、簡易簿記は27%、現金主義は7%となっています。
2.データの活用状況
〇〇町のデータを使って農業経営を行っている経営体割合は18%を占め、活用内容では、データを取得して活用しているのが11%、記録して活用が7%、分析して活用しているのは1%です。これらは、ほぼ〇〇県全体と同じ割合になっています。
3.有機栽培に取り組んでいる経営体数
有機栽培に取り組んでいる経営体数は、水稲が最も多く45経営体、次いで野菜24、果樹22となっています。
第4章 AIによる農業経営体数の予測値と2020年センサス実績値の誤差
1.AIによる農業経営体数の予測
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 農業情報研究センター寺谷「AIによる農業経営体数予測モデルによる研究」から提供いただいた〇〇町の農業経〇〇町合計の農業経営体数は、2015年では、1,344経営体だったものが2020年には、1,097経営体、2025年には、894経営体、2030年には727経営体になると予測されています。営農を継続している農業経営体数の比率は、2030年には、2015年に対して54%となっています。
2.予測値と2020年農林業センサスの実測値の差異
2020年の農業経営体の予測値1,097経営体に対し、2020年の農林業センサスの実測値は1,178経営体となっており、予測値より81経営体、率で7.4%多くなっています。
第5号「〇〇町の農業生産構造動向分析」 (PDFファイル: 1.3MB)
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